医療崩壊を別の視点から見る

医療崩壊  

医療崩壊の、まず押さえておかないといけない点は
まず、ずっと、日本の医療費はぎりぎりに抑えられてきた
ということです。
先進国では考えられないほどの低医療費でした

(安い人件費、過酷な労働の公立病院・・・でも、「2年で戻すから」という
医局の説得のもとで、医師たちは使命感で仕事を行ってきた

こういうことができたのも、大学の医局としての使命感や、
ひとりの医師の人事に関して長期間に面倒をみる大学という組織があって
なりたったことです

医師には組合がなく、それに時間外労働の禁止など言っていたら
ひとの命が救えない現場だから、使命感がないとできないのです)



国の問題
では今、長期間にわたって
使命感を持って、そのひとたちの面倒をみる厚労省の人がいるでしょうか
官僚と言うのは、1年や2年で勤務が変わるもの
民間に対して長期間の人事的責任を負う組織では
もともとないのです
それを要求しても無理というものです

当時のひとたちのみとおしが
間違っていたということです
要するに、文科省の支配下にある医局の権限を厚労省に移したかった
医師人事をコントロールできると思って
マスコミを使って、徹底的に医局たたきをした・・・
医師人事への、使命感をこわしたのです

そして「自由に資本主義で選べる研修医制度」を作りました
そうしたら
医療資本主義をコントロールする力は、日本にないことがわかりました
そもそも医療に資本主義はそぐわないのです
アメリカを見たらわかります
アメリカの医療は悲惨です
保険業界が医師まで指定しますし
高額の保険に入れない人は医療が受けられません

それに個人闘争は、日本の医療の考え方にはありません
自由にするなら、医療費を10倍にしないといけないのです
無理です
残ったのは医療崩壊です

一番重要なのは
間違ったのなら、それを述べて
根本的に国策を修正しないといけないのに
国も政党も政治家も官僚も省庁もマスコミも世論も
だれもそれをしないということです
手を付け始めたひとに非難が及ぶのは目に見えているから

お金の問題
医療がどんどん高度化しているのに
医療費を減らしてきた点です
   これで医療現場が疲弊消耗しました
   医師を36時間続けての、高度な専門知識の必要な
   生命を預かる勤務につかせる、これが正しいことでしょうか
   それで頭が働きますか?
   これは、国民の生命を危うくするやりかたです

   同じことをしたら、アメリカでは10倍の収入があります
   それだけ日本では専門職が低評価ということです
   医師は、全員海外に行けと言っているのと同じです

どうしても医療費を減らさないといけないなら
政府は、「医療サービスを減らす」ことを国民に宣言しないといけないはず
ところがいつも行われるのは
「包括」「まるめ」の導入。サービス残業の法的強制です

同時に「医師のモラル低下」や「勤務医のミス」「医師会の・・・」など
あらさがしをして、を大々的に発表して反対意見を黙らせる

そして政策をとおしてしまうというやりかたです
報道も、そのまま流してバッシングする
こういうやり方が日本中に蔓延しています
もうやめるはずですよね

医師の問題
医師は、職人さんだから
学会はあっても、医師会のような組織がほかにありません
組合もないのだから
28年間、公立病院で昇給がないのはおかしい、と
言える組織がなかった、そこを考えなかった
(これは医局の問題でもあるでしょう)
病院主体が国であろうと自治体であろうと
訴えてしかるべき状況でした
使命感でやってきてしまった
待遇改善をしてこなかった、つけがきています


政治の現場の問題

政治的に意図的に統計を動かすこと
医療費を減らすために
「必要な医師数」の基準を減らしました
基準を変えて、現状を見えなくすると言うのは
よく行われています
(例えば待機児童の通達がそれです)

自治体議会の問題
国の動向だけを見ていて
自発的な意見書がなかなか出せなかった
国に意見(提案や反論)を言う習慣が
全くなかった
なぜか
医療に限らず、お金が国から下りてきていたからです
嫌われて、補助金をはずされるのが、こわかった


意識の問題
もうひとつ大きな問題があります
人間が死ぬのは、必然である
ということを、日本人が考えなくなってきたこと
「死、治療はどんな場合でも行われて当然
直って当然」と、どこかで私もおもっているのではないでしょうか
・・・でも、そんなことはないのです
納得できなくて医療現場にぶつけるということが
しばしばあると思います
変わってきた日本人の死生観については
考え直さないと、個人が不幸になります

システム不備
医療裁判のやりかたも、警察は専門家ではありません
なのに、そこで裁判が行われるしかないという
法システムの不備
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医療崩壊と同じことが、政策現場のあらゆるところで
起きている
国の経営を立て直すには
もはや、一党だけでは無理かもしれない

きちんとした政治をしたい官僚を
つぶす政治ではいけない
でっちあげなどもってのほかです

政治や議会に
知を与えるにはどうすればいいか、
医療を考えさせるにはどうしたらいいかということを
住民が真剣に考えていくべきではないでしょうか
by mai-kitani | 2011-01-27 10:17

あしたも元気!「きたにまい」の想い 本音の日々をつづります。


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